カブリバ冒険譚 in ハロウィン・ナイト

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カブリバ冒険譚

 親愛なる読者の皆様、総じて賢明なる人生のチャレンジャーの皆様、ごきげんよう。

私ことカブリバどっとこむは、エリートサラリーマンとして、投資系ブロガーとして日々研鑽を積んでいる他、もう一つの顔がある。

それは日々女性との出会いを求め、あくなき知的好奇心の探求に勤しんでいることだ。無論、日本人男性としてのモラルを持ち、紳士的な振る舞いをしていることは付け加えておく。

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 さて、小池百合子都知事の発言から「密」であることのリスクが叫ばれて久しい。

人々は密を避け、他人との接触を可能な限り避けている日々だ。

職場でも飲食店でも適切なソーシャルディスタンスが設けられることが当たり前となり、もはや「密」であったことが懐かしくすら感じる。

私の数ある経験の中でも、最も密な空間の内の一つが「ハロウィンのクラブ」だ。

あれは3年前のハロウィンの夜だっただろうか。街は活気に満ち溢れ、飲食店から漏れ出す音楽、人々の会話で埋め尽くされていた。

そんな繁華街の一角、パチスロ店の「ジャグラー」コーナーから伝説の一夜は幕を開けるのだ。

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「・・・あいつらおせえなあ」

 2017年10月末、友人とハロウィンの繁華街へ繰り出すべく待ち合わせをしていた私は、時間を潰すためにパチスロのジャグラーに興じていた。私はこの世の全てがそこにあると言われる現世のラフテル、ドンキホーテで購入したピカチュウのコスプレに身を包んでいた。街はコスプレをした人々で埋め尽くされていたためそのままパチンコ屋に入店した。店内にコスプレをしている人は一人もいなかった事で、物語ラストで自分が全裸であることに気づいたメロスばりに赤面した。ハロウィンで世間が盛り上がっている中陰々鬱々とパチンコを打っている客を見て、なんて可哀想な人たちなんだろう、と心の底から同情した。

しかし私は1,000回転ハマったのちしっかりとバケを食らい、店内の可哀想な人ランキングトップに一気に躍り出た。駅伝における日大の助っ人外国人以上のごぼう抜きだった。死んだ顔でジャグラーを打ち続けるピカチュウは、他の客に大いにトラウマを植え付けたことだろう。

私の財布の中身が完全にピッピカチュウしかけた頃、仲間たちが集結した。

友人A:ミニオンのコスプレ。ハロウィンナイトの楽しみ方に精通する男。今宵の目的はライン 10件獲得とお持ち帰りであると豪語、覇王色の覇気を体全体から出していた

友人B:ウォーリーを探せのウォーリーのコスプレ。ハロウィン初参戦で街の盛り上がりに気が動転し完全に挙動不審、かつテンションも低く、誰も探したくないウォーリーになってしまっていた

イカれたメンバーの集合だ。最高の夜になるだろう。私は晴れた日曜の朝、早起きしてドラゴンボールGTを見ている時と同じくらいこれからの1日にワクワクしていた。

「よし、行こうか」最後の1回転、と回した左リールの中段にチェリーが止まる。台のそれがつくより早く、私の心のゴーゴーランプが「今夜はCHANCE」と輝いていた。

今日の目的地はクラブだ。その理由は街の中で最も人が多く集まるスポットであり、男女関係なく我々同様心が熱く滾った参加者たちが集うからである。ドラゴンボールでいうところの天下一武道会だ。我々は日々鍛錬した己の武道を披露したくて堪らない状態だった。

我々は一次会として居酒屋で過ごす時間すらもったいなく、コンビニで酒を買い、その場で飲み、勢いをつけてクラブへ赴くことにした。クラブはその喧しさも熱狂も、とても素面で行く場所ではないため、当時我々はよくその戦法を使っていた。

しかし不慣れである今回初参戦の友人Bはその意図を理解せず、コカコーラを一気に飲み干し、ただ体調を悪くしていた。今夜の雲行きが初めて怪しくなった瞬間だった。「人数は多ければいいってもんじゃない」。私は少数精鋭の大切さを文化にしている甲子園の雄、智弁和歌山高校の教えを思い出していた。

 クラブへと突入すると、フロアは我々の想像以上に盛り上がっていた。小池都知事がもしその状況を見たら怒り狂って都議会総辞職するレベルの密な状況だった。我々は小一時間ほど、馬鹿騒ぎをしながら、三人組の女性に声をかけていたがなかなか捕まらない。そもそもクラブ内はすでに無秩序で、三人組を見つける方が難しいのだ。その状況から、我々は一旦離散し、各々でソロの女の子に話しかけようという作戦で合意。女の子を見つけて、3時間後に合流しよう。我々はシャボンディ諸島で再会を誓った麦わらの一味と同じくらいの覚悟を持って、それぞれの海へ飛び出した。

 さて、私も無策でこの乱れた戦場に来るはずはない。私の緻密な計画は実はこの1ヶ月も前から始まっていた。手順は以下の通りだ。

① パン工場でパンを並べるバイトをできる限りやる

② できる限りの現金を手にする

③ その金で女の子に酒を奢りまくる

一部の隙もない完璧な作戦だ。私はパチンコ屋での不慮の事故でカラッポになった財布に、バッグから封筒に入った現金をチャージ。パン工場で私にパンの並べ方を優しく指導してくれたおばちゃんたちの姿が脳裏をよぎる。彼女たちのためにも、私を発狂させかけた幾千のソーセージマヨパンの苦しみを超えて今夜は必ず勝利しなければならない。

作戦は見事的中した。声をかけた女の子は酒を奢ると言うと流石に反応も良く、その気前の良さに完全に痺れていた。今日のピカチュウはでんじはを使わずとも人間をマヒさせることができる。そう、酒ならね。私は小一時間程複数の女性に囲まれ、これ以上ない時間を過ごしたのだった。

 しかし幸せな時間は長くは続かなかった。私に周りに集まっていたはずの女性たちが、みるみる最前線のDJブース付近に集まっていく。今宵はハロウィンということでイケメン俳優がゲストDJとして来ているようで、フロア内の女性のほとんどが彼のDJ目当てで来ていたようなのだ。

そして時を同じくして、無限に思われた私のパン並べによる現金も底を尽きてきた。万事休すだ。目の前がまっくらになった。ヒトカゲ一本でトキワの森を抜けてニビシティで詰む哀れなポケモントレーナーの気持ちが分かった。

 ふと、私は懐かしい仲間達のことを思い出した。再集結を熱く誓い合った仲間たちのことだ。LINEを見ると、彼らから以下の連絡が来ていた

友人A:LINEを20件獲得し、これから女の子とホテルに行くことになった

友人B:再試のレポートが終わっていないので帰る

私は一人になっていた。友人Aに強い嫉妬を覚えつつ、また、私たちより完全に真面目に授業に出ていたのにひっそりとテストに落ちていたシンプルな阿呆・友人Bに強い苛立ちを感じつつ、クラブを後にした。

とてつもない疲労感と敗北感でやけに腹が減り、コンビニで中本のカップラーメンを買って帰った。一人自室で食べるラーメンがやけに辛く感じたのは、メーカーの調味ミスであろうか。それともーーー。

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 こうして私の狂気のハロウィン・ナイトは幕を閉じた。しかし私は全く後悔などしていないし、いつかリベンジをしてやろうと心に強く誓っている。

そう、ポケモンの歌にもあるだろう。

火の中、水の中、草の中、森の中、そして土の中、雲の中を超えた先でしか、あの子のスカートの中にはたどり着けないのだ。

憧れのポケモンマスターの道はどこまでも険しく、遥かな道のりのようである。

【終わり】

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